EDITOR'S COLUMN

 Kaori Watanabe/FIRENZE

古都フィレンツェのジュエリー職人

2009.12.09
text : Kaori Watanabe

イタリア中部にある古都フィレンツェは、ルネッサンスの時代より数多くの芸術作品を生み出してきたと共に、数々のジュエリーが作り出されてきた街です。今でもすばらしい技術を受け継いできた優秀なジュエリー職人が多くいることをご存じですか?今回は、このジュエリーの街フィレンツェでトスカーナ州公認、彫金石留師として作品を創造し続けている日本人女性、廣川真紀子さんを紹介したいと思います。

歴史的、芸術的建造物に囲まれてジュエリー作り

左:ベッキオ橋、彫金師として有名なベンヴェヌート・チェッリーニの胸像 右:ポンテベッキオの上は宝飾店が立ち並ぶ

フィレンツェを流れるアルノ川にかかるベッキオ橋を渡り、左手にあるサンタフェリチタ教会のすぐ横手にジュエリー工房があります。工房のすぐ上には有名なヴァザーリの回廊が通っているという、まさに歴史的、芸術的建造物の中でジュエリー創りに励んでいる真紀子さんは、フィレンツェのジュエリー学校アルティ・オラフェで3年間みっちりと勉強後、様々なジュエリー工房をまわりさらに腕に磨きをかけていきました。そして、石留職人のレオナルド・キッレーリさんに出会うことになります。3代続く芸術彫金一族の長男であるレオナルドさん。ジュエリーを愛し続ける職人として、フィレンツェ最優秀職人賞を受賞しています。レオナルドさんの魅力は、その腕の確かさ、ジュエリーへの情熱に加えて、自分の技術を次へ受け継がせること、次の世代を育てていくという責任感に目覚めていることにあると真紀子さんは感じたそうです。職人同士、息がぴったりとあった2人は2004年、オリジナルブランドとして「ノイ ジョイエッリ」を立ち上げます。

ジュエリーへの思い

左:真紀子さん、作品の説明をしてくれているところ 右:工房の様子

仕事を続けていく中で大変な思いがあっても、どんな時でもジュエリー創りに集中していると嫌なことも忘れて心から幸せを感じることができるそうです。いろいろとお話をうかがっている時にも、真紀子さんの、ジュエリーに対する思いや情熱が強く伝わってきました。

ゴールド×ダイヤモンド×真珠

子供の頃から身に着けるものが大好き、お洒落が大好きだったという真紀子さんがジュエリーの世界へ惹きつけられたきっかけは、17歳のときに家族と行ったアメリカ旅行だったそうです。アリゾナの街で、現地の人々が手作り販売していたシルバージュエリーを見てジュエリーというものに魅せられてから、頭の中はジュエリー職人になること以外考えられなくなってしまったそうです。日本の芸術系短大を卒業後ジュエリー修行に海外へと出ていくとき、初めてフィレンツェという街に伝統的にジュエリー職人たちの世界があるということを知ります。

オリジナルブランド「ノイ ジョイエッリ」

フィレンツェの絵シリーズ ゴールド×ダイヤモンド

ジュエリーを創るために生まれてきたと言えるような2人の優秀な職人がここフィレンツェで出会うべくして出会い、ノイ ジョイエッリを立ち上げました。オリジナルジュエリーのデザインや制作を手がけると同時に1年のうちの多くを展示会のため、ドバイ、ニューヨーク、マイアミ、東京など、海外で過ごすそうです。身に着ける人をより美しくさせるジュエリー、というのが真紀子さんの探求するところ。フィレンツェの絵シリーズというペンダントネックレスは、とても繊細でエレガントでかつ、存在感もある美しい作品です。
「美術館の絵から、アルノ川のしずくがキラキラ零れ落ちているよ」
街一体が美術館のようだと言われているフィレンツェを、額縁の中の絵に例え、そこからダイヤモンドの雫が流れ出しているデザイン。絹目のような細かな模様はミッレリーゲと呼ばれる特殊なグレーバーで、1本1本、手で彫られています。

フィレンツェには、物づくりに対して情熱を持ち続けている種類の人がまだまだ健在しています。彼らの情熱を目の当たりにすると心から感動し、エネルギーを与えられます。職人たちの技術や情熱がさらに将来へ受け継がれていくことで、これからもフィレンツェの街の魅力が続いていくだろうと期待します。

ノイ ジョイエッリ
http://www.noigioielli.com/

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Kaori Watanabe
EDITOR
フィレンツェ在住ライター 渡邊香里
1995よりフィレンツェ在住し、コンテンポラリージュエリー作家として活躍。
オブジェ・写真等、様々な分野で作品を制作発表。
その傍らファッション系、海外情報系記事の執筆を行っている。
フィレンツェにて友人たちとアソシエーションを設立し、文化交流活動中。
URL: www.kaoriwatanabe.com


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