EDITOR'S COLUMN

Tomoko Delgado/LONDON

中世の理髪師『Filistrucchi』

2009.08.12
text : Kaori Watanabe

イタリアでは「手作り」ということに対して特別な思い入れがあります。それは、母親の手作り料理からはじまって、洋服や、アクセサリー、家のインテリア、そして、自転車などの乗り物にいたるまで。ハンドメイドであるということは、イコール、こだわりと情熱とオリジナリティの象徴のような扱いを受けたりします。私のまわりでも、様々な分野にわたってハンドメイドで物を作り続けている友人がたくさんいますが、今回は「布」が大好きでしょうがないというフランス人の友人ソフィーさんを紹介したいと思います。

メイド・イン・イタリーの上質な生地に囲まれたアトリエ

左から愛用のSINGERのミシンとすべてメイド・イン・イタリーの上質な生地。

閑静な住宅街にあるソフィーさんの自宅兼アトリエに入ってみると、そこには色とりど りの生地がズラリと並んでいます。これらの生地はすべて「メイド・イン・インタリー」。一枚の生地の中にたくさんの色使いがほどこされ、デザインのスタンプもずれがまったくなく正確・・・etc.コレクションで使用されるような上質な生地ばかりです。美しい生地を見ると、つい購入してしまい、いつの間にかたくさんの生地に囲まれるようになったそうです。
アトリエの窓際に、ポツンとたたずんでいるレトロ感漂うSINGERのミシンは、フィレンツェの街を散歩していたときに、絨毯屋さんの店先で売りに出されていたものだそうです。見た瞬間に、惚れ込んでしまい、すぐに購入。そこからソフィーさんの手作り仕事が始まったというまさに、思い出たっぷりのミシン。

作り手の人柄が物に現れる

様々なテキスタイルバリエーションが魅力的なバッグ!

始めは自分やまわりの友人のために作っていたのが、だんだんと物づくりにはまるようになりネット等でも販売するようになったそうです。特に、JOSEPHINとネーミングされている「がまぐち布バッグ」はとても人気があります。無数にあるカラーやテキスタイルのバリエーションから選べるというのが最大の魅力。ぱっくりと開いたがまぐちの中が、ショッキングピンクだったりして、とてもキュート。ポップなテキスタイルデザインや、布の暖かさが生かされている。そしてソフィーさんの優しくて朗らかな人柄が、バッグにも現れているなと感じるのはやはり、生地選びから、デザイン、製作、販売、すべてを彼女がこなしているためだと思います。
彼女は自分の作った布バッグにGERVAISEというブランド名をつけました。GERVAISEは、フランス作家ゾラの小説「居酒屋」の中にでてくる主人公の名前からきています。フランスでフランス文学を専攻していたというソフィーさんは、このゾラの小説の大ファンで、女主人公GERVAISEの生き方がとても好きなんだとか。主人公GERVAISEは、洗濯屋をしているのですが、「手」を使って仕事をするということが自分の仕事と通じるものがあると感じるそうです。

カラフルなポシェット。

子供用おもちゃ「SOFT TOYS」も挑戦したい

左から色鉛筆ホルダーとアルファベットのクッション。

フランスの大学を卒業後、エラスムス計画を通して、イタリア留学したのがきっかけでイタリアに住むようになったソフィーさん。その後イタリアで結婚し、10ヶ月になる男の子の母親でもあります。最近では、布を利用して子供用のおもちゃ「soft toys」も作ってみたいそう。また、布の色やデザインの組み合わせのミスマッチ感があまりにも面白くてパッチワークづくりにも挑戦。
これから秋冬にかけては、厚手のウール地やカシミア地でバックを作っていく予定。特に、グレイ系のコンビネーション、スタンプ系デザインを中心に、バッグの裏地はいつものようにハッと目が覚めるようなヴィヴィットカラーを使っていきたいそうです。

ミシンの前にて、ソフィーさん。

すべての工程を一人でこなすことで、作り手の個性や情熱が物に直接現れてくるという面白さ。それは大量に生産されていくものとはまったく違った性質で、「物」から人間っぽさが伝わってくるという楽しさです。布バッグを通して、ソフィーさんとコミュニケーションをしているような、そんな感覚をおぼえました。

ソフィーさんのサイト
http://www.gervaise.it

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Kaori Watanabe
EDITOR
フィレンツェ在住ライター 渡邊香里
1995よりフィレンツェ在住し、コンテンポラリージュエリー作家として活躍。
オブジェ・写真等、様々な分野で作品を制作発表。
その傍らファッション系、海外情報系記事の執筆を行っている。
フィレンツェにて友人たちとアソシエーションを設立し、文化交流活動中。
URL: www.kaoriwatanabe.com

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